【7月27日 AFP】仏パリ(Paris)のエッフェル塔(Eiffel Tower)、米ニューヨーク(New York)の自由の女神(Statue of Liberty)、伊ローマ(Rome)のコロッセオ(Colosseum)──。ユダヤ教の宗教指導者、ラビであるナタン・アレクサンダー(Natan Alexander)師(34)が、それら有名な建造物から着想を得て生み出したバイブレーターには、明確な目的がある。正当派ユダヤ教徒のカップルたちに、罪の意識を感じることなく喜びを味わってもらうことだ。

 アレクサンダー師はオーストラリアのシドニー(Sydney)で生まれ、現在はイスラエル占領下のパレスチナ自治区ヨルダン川西岸(West Bank)のユダヤ人入植地に住んでいる。イスラエルでユダヤ教を学び、ラビになった後、彼はユダヤ教徒たちの性生活に刺激を与えるために、インターネット上でセックス・カウンセリングを始めた。「妻に喜びを与えることは宗教的義務だ」と同師はAFPに語る。「敬虔(けいけん)な夫婦は、性生活をさらに充実させるために助けが必要だ」

 さらにアレクサンダー師は、セックス玩具の通販サイト「Better2gether」を開設した。ユダヤ教の戒律に従った製品を販売しているため、教徒は安心して購入できる。「ユダヤ教の戒律では、こうした玩具を使うことが許されている」と同師はいう。サイトでは「Better2getherは、夫婦の絆を精神的にも肉体的にも強める助けになる。私たちのアプローチは謙虚さ、繊細さ、秘匿性を大事にしている」とうたっている。

 オンライン・カタログには、「ガーキン(Gherkin)」(キュウリのピクルスの意)の通称で知られる英ロンドン(London)の41階建てのオフィスビル「30セント・メアリー・アクス(30 St Mary Axe)」やアラブ首長国連邦(UAE)ドバイ(Dubai)の人工島「パーム・ジュメイラ(Palm Jumeirah)など、世界のランドマークをモデルにしたバイブレーターが並ぶ。

 アレクサンダー師のビジネスは成功し、イスラエルのみならず、遠くは米国や英国、オーストラリア、南アフリカまで多くの顧客を満足させている。商品は他のセックス玩具店に置いてあるものと変わりないが、正当派ユダヤ教徒の感受性を傷つけるような、みだらなイラストが描かれたパッケージには入っていない。

 サイトではまた、プロのセックス・セラピストによるオンライン・カウンセリングも提供している。夫婦カウンセラーや婦人科医が、ラビには聞きにくい問題について質問を受け、答える。早漏からペニスの大きさ、オーガズム、体位などの質問について「宗教生活のおきてを順守した」言葉を使って回答されている、とアレクサンダー師はいう。「ユダヤ教はセックスの快感を重視しているが、いまだ往々にしてタブーな話題だ。私はこの分野で草分けとなったことを誇りに思う」(c)AFP/Michael Blum