【7月24日 AFP】中国の美術館で今週、「盗品」としてフランスから中国へと返還された、古い金の装飾品30点超の展示が始まった。これらの古美術品をめぐっては、仏政府が、収集家と古美術商に中国への返還を働きかけたとされている。

 これらの古美術品は、約15年前に、収集家と古美術商によって仏パリ(Paris)の美術館に寄贈されたものだ。その時に仲介役を務めたのは、当時のジャック・シラク(Jacques Chirac)元大統領だった。シラク元大統領は、アジア美術の愛好家で知られている。

 近年、いわゆる「恥辱の世紀」の間に諸外国によって略奪された遺産を回収しようと奔走している中国。これと歩調を合わせるかのように、多くの国の政府も世界第2位の経済大国とより良い関係を築くことを目指し躍起になっている。

 この仏政府の動きについて、中国古美術の専門家のクリスチャン・ディディエ(Christian Deydier)氏はAFPの取材に対し、仏政府は中国のご機嫌を取るために、骨董品を返還するという恥知らずな行為に出たとコメント。仏政府による不適切な法的手続きと「密かな輸出」を非難した。

 展示された古美術品32点は、紀元前8世紀ごろの甘粛(Gansu)省にその起源をさかのぼるという。これには、28点の黄金の飾り版が含まれているが、中心的な作品は猛禽類の大型像4点で、周王朝時代の儀式乗馬用具の部分あるいは位の高い人の棺(ひつぎ)の装飾だったようだ。

 これら遺物をめぐっては、その背景をめぐって2000年代半ばに論争が起きている。ある古物商は、中国から不法に持ち出されたものと主張したが、当局の捜査では結論は出なかった。(c)AFP/Sébastien BLANC