【7月22日 AFP】オーストラリア政府が同国の在来動物に害を与えているとされる野良猫200万匹の殺処分を計画していることについて、フランスの女優ブリジット・バルドー(Brigitte Bardot)さん(80)が、強く非難する公開書簡を同政府に送った。動物愛護団体も22日、この計画が成功する見込みは薄いと指摘した。

 オーストラリア大陸では2世紀前の欧州人による入植開始以降、動物種の10%以上が絶滅。特に哺乳類の絶滅率の高さの背景にあるのは、野良猫の存在だと言われている。

 グレッグ・ハント(Greg Hunt)環境相は先週、オーストラリア放送協会(Australian Broadcasting CorporationABC)に対し、国内には2000万匹の野良猫がおり、数多くの固有種の動物たちを毎晩捕食しているという指摘を受けたとして、2020年までに200万匹の野良猫を殺処分し、鳥類や哺乳類の生息数回復のために猫がいない保護地区を創設するとの目標を設定したと表明した。

 豪政府は猫の殺処分は安楽死とする点を強調しているが、バルドーさんは国際社会を「驚がくさせる」計画だとして、豪政府に対し計画の見直しを要求。ハント環境相へ宛てた公開書簡の英語版で、「この動物大量虐殺は非人道的でばかげている。猫たちを殺すことは残虐な上、今回猫を殺しても残った猫たちが繁殖を続けるだろうから絶対的に無益なことだ」と述べた。さらにバルドーさんは、動物を破滅させるために確保される資金を大規模な避妊手術運動に振り向ける方が良いと主張。相次ぐ動物の殺処分によってオーストラリアのイメージは傷ついていると述べた。

 豪政府は今年初め、同国南東部でコアラの過密状態が餓死を招いているとして、700匹近いコアラを殺処分した。また内陸部の辺境地帯アウトバック(Outback)では、土地を保護するためとして、野生化したラクダや馬の殺処分を行っている。

 動物愛護団体「動物の倫理的扱いを求める人々の会(People for the Ethical Treatment of AnimalsPETA)」は22日に発表した声明で、過去に行われてきた動物の殺処分は効果がないことが証明されているとして、豪政府に対し、猫の繁殖力抑制などより長期的で殺処分を伴わない解決法を求めた。(c)AFP