■「まだまだ気持ちは若い」

 目仲さんは、家事をこなすことで健康を保ち、食事に特別のこだわりがあるわけではないと話す。そして、肉も甘いものも好きだと笑顔を見せた。そのような目仲さんの態度を横目に、グループ最年長の山城ハルさん(97)は「やれやれ」といった様子で首を振っていた。

 目仲さんはさらに、「健康管理は、家のお掃除したり、暑いときは影に入ってできる仕事をやったりね。(日に焼けると)黒くなると思って日なたには出ないようにね。まだまだ気持ちは若いですね」と笑いながら話した。

 とどまることを知らない女子力を存分に発揮するKBG84だが、公演の舞台裏では、歩行器が楽屋の入り口を塞ぎ、血圧計や除細動器もしっかりと用意されている。この辺りは、英国の野外音楽祭「グラストンベリー・フェスティバル(Glastonbury Festival)」とは違う点だろう。

 この元気いっぱいの女性音楽グループは、小浜島に20年以上にわたって暮らしている九州出身のミュージシャン、土田喜久男さんのアイデアで誕生した。最近、レコード会社と契約を結び、公演には必ずといっていいほど、ドキュメンタリー映画の撮影クルーが帯同している。彼女たちの公演に訪れる観客の年齢層は、大抵が中年以上の高齢者たちだという。

 東京で大スターになった気分だったという慶田盛英子さん(86)は「お客さんがすごい笑顔だったんです。それに元気づけられてね、ますます思いっきり歌いました」と話し、そして「(曲の)歌詞が、海ではクジラが潮吹いたとか、イルカが宙返りだとか、大自然を歌ってくれるのでね。小浜に生まれて良かったなあ、と思いました」とコメントした。

 都会でスター扱いを受けた歌姫たちだが、楽園での暮らしは今もほとんど変わらない。お茶を飲みながら長いおしゃべりを楽しみ、まるで三銃士たちのように仲が良いという。「良いこと悪いことあったら、愚痴をこぼしたり(話を)聞いたりしてます。みんな、心通じ合う人ばっかりだから。子どもの時からですからね。けんかしてもすぐ仲直りします」

 そんななか、元気いっぱいの目仲さんは「もう一ぺん、小浜のばあちゃん合唱団と一緒に東京に行って、孫と楽しみたい」と満面の笑みで語った。これをそばで聞いていたメンバーたちは、あきれた表情を見せながら、彼女の口がいったん回り始めたらもう誰も止めることはできないと忠告してくれた。(c)AFP/Alastair HIMMER