【7月22日 AFP】夏の暑さや砂ぼこりと戦いながら、愛馬と共にモンゴルの大草原を駆けているのは、少年ジョッキーのPurevsurengiin Togtokhsuren君。弱冠13歳ながら、約170人の少年ジョッキーが競う、夏の祭典「ナーダム(Naadam)」で競馬に参加するのは今年で5回目だ。

 チンギスハン(Genghis Khan)とその子孫の軍隊は、馬に乗ってユーラシア大陸の広大な地域を制覇した。それから800年、モンゴルの人々は3つの勇ましい技術──競馬、弓射、相撲──をナーダムで祝ってきた。

 Togtokhsuren君が馬に乗るのはお金のためだ。モンゴルでは2010年の異常気象で数百万匹の家畜が死んだ。このような災厄をモンゴルではゾドと呼ぶ。彼の両親もこのときに家畜を失っている。そして彼は、ジョッキーとして仕事をするようになった。

 真剣な表情と短く刈り込んだ髪のせいか、年齢よりも大人びて見える彼は「家を離れてから、両親が何をして生計を立てているかも分からない」と述べ、「この5年間、コーチと暮らしてきたから、母が恋しいということはない」と続けた。

 彼は自分が稼ぐ金額を口にすることはないが、モンゴルの子どもジョッキーの稼ぎはたいてい月50万トグログ(約3万1000円)ほどだ。食費や学用品代などはコーチ持ちだが、彼は稼いだ金額は両親に仕送りしている。

 そして、同国で最高の名誉とされているナーダム競馬の優勝を勝ち取れば、政府からの1500万トグログ(約93万円)の賞金の20%は彼のものとなり、たいていスポンサー企業からも賞金が手に入る。ここにジョッキーとして働くインセンティブを見出すことができる。

 モンゴルの馬はスタミナ重視で交配されているので、レースは、欧米のものよりもずっと長距離となる。Togtokhsuren君は2014年のレースで3位と4位に入ったが、今年の順位はそれを大幅に下回った。6歳馬による15キロのレースで30位、5歳馬の23キロのレースで172頭中54位だった。さらに23キロを超えて競われるレースには不参加だった。馬の体力がこれに耐えられないと判断したためだ。

 ここ数か月、モンゴルの放牧地の半分以上が熱波の被害を受け、雨も降っていない。このため大草原には、夏の若々しい草がほとんどなく、干上がってしまったかのような景色が広がっている。

「干ばつのせいで、馬が弱すぎて勝負にならないんだ」とTogtokhsuren君はつぶやくように話した。(c)AFP