【7月20日 AFP】プロボクシングのプロモーターを務めるボブ・アラム(Bob Arum)氏が、予定されていたけがの治療を直前にキャンセルしたとして、プロボクサーのマニー・パッキャオ(Manny Pacquiao、フィリピン)を批判し、同選手がリングに復帰する可能性は白紙だと語った。

 トップランク(Top Rank Boxing)社を率いる83歳のアラム氏は、18日にマカオ(Macau)で行われたIBF世界スーパーライト級タイトルマッチの会場で、パッキャオがもう一度リングに復帰する可能性について問われると、怒りを爆発させた。

 アラム氏は、「私に言わせれば、彼はもう現役の選手ではない。プロフェッショナルとしての行動を怠ったのだからね」とコメントしている。

 36歳のパッキャオは、5月2日に米ラスベガス(Las Vegas)で行われたボクシング史上最高額となる「世紀の一戦」で、フロイド・メイウェザー・ジュニア(Floyd Mayweather Jr.、米国)に判定負けを喫したあと、右肩の腱板を断裂していたことを明らかにし、その5日後には修復手術を受けていた。

 アラム氏によると、パッキャオは7月4日に米ロサンゼルス(Los Angeles)市内にあるカーラン・ジョーブ整形外科(Kerlan-Jobe Orthopedic Clinic)を訪れ、ニール・エルアトラシュ(Neal ElAttrache)医師の診察を予定していたが、直前になってキャンセルしたとしている。

 アラム氏はAFPに対し、「パッキャオは医師の診断を受けると思っていた。だけど、彼は何らかの理由でそれをキャンセルした」と語っている。

「彼の取った行動は、あまりにもプロフェッショナルからかけ離れている」

 医師の診察が予定されていた日から数日後、母国で政治家としても活動するパッキャオは、テレビ広告の撮影でインドネシアを訪問し、同国の刑務所に収容されているフィリピン人のメアリー・ジェーン・ベローソ(Mary Jane Veloso)死刑囚と面会した。

 2児の母でもあるベローソ死刑囚は、スーツケースの裏にヘロインを隠し持っていたとして2009年に逮捕されたあと、死刑が言い渡されている。

 10日にベローソ死刑囚が収監されている刑務所を訪れたパッキャオは、「私はメアリー・ジェーンの命を救うための手伝いがしたい。彼女は人身売買の被害者だと思っている」と語っている。

 しかしながら、アラム氏は、パッキャオは以前から決められていた計画通りにロサンゼルスへと向かい、医師の診察を受けるべきだったとの見解を示している。

「手術をすれば、リハビリをしなければならない。そして医師はその経過を観察し、今後の治療方針を決める必要がある」

「彼は一人前の大人だ。だから自分自身で決断することができる。だけど私に言わせれば、彼はもう選手ではない」

(c)AFP