【7月19日 AFP】中国・内モンゴル自治区(Inner Mongolia Autonomous Region)オルドス(Ordos)の空港で外国人団体旅行客が現地警察に拘束された件について、ツアー参加者2人のスポークスマンは18日までに、一行がチンギスハン(Genghis Khan)のドキュメンタリー作品を見た後、「テロリスト」関連の映像を視聴した疑いで拘束されたことを明らかにした。

 旅行客は南アフリカ、英国、インドから来た20人で今月10日に拘束され、外交に影響が及ぶのではないかと懸念されていた。北京(Beijing)の南アフリカ大使館と英国大使館によると、このうち英国人6人と南ア人5人、インド人1人は既に釈放され、残り8人も向こう数日内に強制送還される見込みという。

 一方、ツアー参加者のうちフサイン・ジェイコブス(Hoosain Jacobs)氏とタヒラ・ジェイコブス(Tahira Jacobs)氏のスポークスマンは英国で声明を発表し、参加者全員が不起訴で釈放されたと述べた。両氏は英国と南アの二重国籍を保有しているが、今回は南アのパスポートで渡航したという。

 スポークスマンはまた、13世紀に東欧から南シナ海(South China Sea)にかけて広がるモンゴル帝国を建国したチンギスハンをめぐる「不幸な誤解」が、ツアー参加者の拘束につながった可能性を指摘。「一行は当時訪れていた地域について理解を深めるためにチンギスハンのドキュメンタリー作品を視聴したが、これが『(テロの)プロパガンダ』映像と誤解されたようだ」と述べた。

 スポークスマンはその上で、「内モンゴルで最初に拘束に携わった若手の当局者らが、(ドキュメンタリー作品の)英語をよく理解できなかったため、ミスを犯したとしか推測できない」と付け加えた。

 一行は中国をめぐる47日間の「豪華ツアー」で、かつて英国統治下にあった香港(Hong Kong)から商都・上海(Shanghai)まで各地を訪れる予定だった。中国当局の拘束に見舞われたのはツアー30日目、オルドス市内のチンギスハン陵(Genghis Khan Mausoleum)を見学した後だったとされる。

 資源が豊富な内モンゴルでは、政府が遊牧民を町に移住させたり、大型炭鉱を開発したりする政策を実施しており、これらの政策に反対するモンゴル族の抗議行動が散発的に行われている。(c)AFP