【7月17日 AFP】莫大な工費が批判の的となっている新国立競技場(New National Stadium Japan)について、デザインの選定に携わった建築家の安藤忠雄(Tadao Ando)氏が16日、会見を行った。

 イラク出身で英国在住の建築家、ザハ・ハディド(Zaha Hadid)氏がデザインした新国立については、以前からその斬新なデザインに対する批判の声があったが、さらに建設費が当初想定の倍近い2520億円に膨らむことが判明し、そちらでも物議を醸している。

 また、建設費用の負担をめぐって、政府と東京都が対立する事態も起こっている。

 デザイン審査委員会で委員長を務めた安藤氏は、会見で「2520億円と聞いた時は、えーっと思った」と話し、自身も費用には疑問を抱いていることを明かした。

 その一方で安藤氏は、「調整がいるのではないかと思う。ザハさんの案は残してほしい。国際的な信用がなくなる」とも話している。

 新国立の総工費2520億円は、NFLのニューヨーク・ジャイアンツ(New York Giants)とニューヨーク・ジェッツ(New York Jets)が本拠地に使用している、米ニュージャージー(New Jersey)州のメットライフ・スタジアム(MetLife Stadium)の16億ドル(約2000億円、現在)を大きく上回る。

 五輪のメーン会場では、2012年ロンドン五輪のオリンピックスタジアム(Olympic Stadium)が6億8000万ドル(約850億円、現在)、2008年北京五輪の鳥の巣(Bird's Nest)が4億5500万ドル(約550億円、現在)と言われている。

 報道によれば、政府はデザインの一部を変更、もしくは工期を延長してコスト削減をはかる可能性がある。場合によってはデザインの見直しもあり得るという。

 安藤氏は、コストに関する議論を建設会社らに求めた上で、「ゼネコンの人たちも、もうからなくても、『日本の国のために、日本の誇りのために頑張る』と言っていただけたら、値段もうまくいくのではないかと思う」と話した。(c)AFP