【7月15日 AFP】(一部更新・訂正)17世紀の悪名高い海賊「キャプテン・キッド(Captain Kidd)」ことウィリアム・キッド(William Kidd)の沈没船を発見したと主張している海洋考古学チームに同行しているドキュメンタリー番組制作会社が15日、船発見の発表は誤りだったとする国連教育科学文化機関(ユネスコ、UNESCO)の報告書が発表されたことを受け、発見者らを擁護する声明を発表した。

 海洋考古学者のバリー・クリフォード(Barry Clifford)氏は今年5月、マダガスカル沖の海底でキッドが使用していた伝説的な海賊船「アドベンチャー・ギャリー(Adventure Galley)号」の残骸と、略奪品である50キロの銀の延べ棒を発見したと発表した。

 この発表を受け、インド洋(Indian Ocean)に専門家を派遣して調査を行っていたユネスコは14日、同氏の主張を否定する報告書を発表。「銀」とされた延べ棒はただの鉛の重しで、沈没船とされているのは古い港の建築物のがれきだったと主張した。

 だが、同氏の活動を記録しているテレビ番組制作会社オクトーバー・フィルムズ(October Films)は声明で、「調査はすべて、尊敬を集めている海洋考古学者が率いる経験豊富な水中探査チームが行った」「(ユネスコの報告書)には、われわれがやがて精査・対応する予定の複数の点が含まれている」と表明した。

 キャプテン・キッドは1645年ごろスコットランド(Scotland)に生まれ、当初は英当局から海賊退治役として雇われていたが、後に自ら冷血な海賊になった。その強奪品の多くの行方については謎のままとなっており、何世代にもわたって財宝発見を目指す人々の好奇心をかき立て、興奮をもたらしてきた。

 クリフォード氏の発表は世界中で話題となったが、ユネスコの調査チーム主任のミシェル・ルール(Michel L'Hour)氏は「どこをどうしたら、急に水の中から出てきて『キャプテン・キッドの財宝を見つけた』と言ったりできるのだろうか」とAFPに語った。