【7月15日 AFP】イエメンのアブドラボ・マンスール・ハディ(Abd-Rabbo Mansur Hadi)暫定大統領派の武装勢力は14日、サウジアラビアが主導する連合軍の支援を受け、同国第2の都市アデン(Aden)の国際空港を奪還した。ハディ氏が今年3月にサウジアラビアのリヤド(Riyadh)に逃れた後としては初の大きな軍事的成果だ。

 アデンの軍事筋によるとハディ暫定大統領派はサウジアラビア主導の連合軍から高性能の武器を提供され、サウジアラビア国内で訓練を受けたイエメン軍の兵士たちがハディ側の戦闘員と共に戦ったという。反体制派は今年3月25日に空港を掌握していた。

 イランが支援しているとみられているイスラム教シーア派(Shiite)系反政府武装勢力は、イランが欧米など6か国と核開発をめぐる歴史的な合意に達した中で撤退した。イスラム教スンニ派(Sunni)の中心的な国であるサウジアラビアは、南隣の貧困国イエメンへのイランの影響力に深刻な懸念を抱いている。

 14日はアデンにあるイエメン最大の製油所がロケット弾を撃ち込まれて炎上したが、情報が混乱しており、どの勢力が発射したロケット弾だったのかは分かっていない。

 国連(UN)の潘基文(バン・キムン、Ban Ki-moon)事務総長は、先週末から始まる予定だった6日間の停戦が実現しなかったことに失望感を表明した。

 イエメンの人道的状況を最も深刻な「レベル3」としている国連によると、イエメンの人口の80%以上に当たる2110万人以上が支援を必要としており、約1300万人が食糧不足、約940万人が水へのアクセス困難に直面している。今年3月下旬以降に戦闘で死亡した人は3200人を超え、そのおよそ半数が民間人だという。

 そんな状況にありながらアフリカ大陸北東部の「アフリカの角(Horn of Africa)」と呼ばれる地域からイエメンへの難民の流入は続いている。国連難民高等弁務官事務所(UN High Commissioner for RefugeesUNHCR)によると、その人数は今年だけで3万7000人に上り、およそ3分の1は連合軍の空爆開始後にイエメンに来た人たちだという。(c)AFP/Fawaz al-Haidari