【7月14日 AFP】スペイン1部リーグ、レアル・マドリード(Real Madrid)のフロレンティノ・ペレス(Florentino Perez)会長は13日、チームの象徴だったGKイケル・カシージャス(Iker Casillas)をポルトガル1部リーグのFCポルト(FC Porto)に移籍させ、25年間在籍したチームを退団するよう追い込んだことはないと語った。

 カシージャスが涙の退団会見を開いた翌日、ペレス会長は34歳の同選手と一緒に姿をみせると、本拠地サンチャゴ・ベルナベウ(Santiago Bernabeu Stadium)でファンと一緒に賛辞を送り、報道陣を驚かせた。

 カシージャスが退団する要因になったのは、クラブがイングランド・プレミアリーグのマンチェスター・ユナイテッド(Manchester United)に所属するGKダビド・デ・ヘア(David de Gea)獲得を目指すためだとされているが、ペレス会長によると、移籍を申し出たのはカシージャス本人だったとしている。

 少年時代から25年間レアル一筋で過ごしてきたカシージャスについて、ペレス会長は、「われわれが敬意を払い、受け入れたのは、彼にはそれにふさわしい資格があったからだ」と語った。

「誰も彼に対して、レアルを去ってくれと頼んだことはない。数日前、彼はポルトからオファーを受けた。それをクラブに伝え、合意に向けて考慮するように要請してきた」

 しかしながら、ユナイテッドはこの日、プレシーズンの米国ツアーにデ・ヘアを帯同させており、同選手のレアル移籍は後退したとみられている。

 一方、カシージャスは同日午後、ポルト(Porto)空港に到着すると、新天地のファン200人に歓迎された。

 ポルトは現在、今季のリーグ開幕戦に向けて準備を進めており、新しく加入したカシージャスのお披露目について詳しい日程は明らかにしていない。

 カシージャスは12日に行われた退団会見の席上で、ポルト移籍を決断したのは、クラブが示した「熱意」だったと明かしている。

 しかしながら、カシージャスはその翌日、レアルではここ数年間つらい時期が続いたことをほのめかし、「私を元気づけ、支えてくれたレアル・マドリードのファン全員に感謝する。そして、私と意見の相違があった方々には、本当に申し訳ない」と語った。

 ロッカールームでチームをまとめる存在として知られていたカシージャスだったが、ジョゼ・モウリーニョ(Jose Mourinho)監督の政権下ではチームの内情をメディアに暴露したとして、一部のファンから批判を浴びていた。

 スペインメディアは、カシージャスとペレス会長の間には確執があったと報じているが、この日は両者そろって姿をみせている。

 ペレス会長はカシージャスについて、「この2年間は、たくさんの重圧が彼にのしかかっていた。このクラブで現役をまっとうしてほしかったが、彼の決断を受け入れるしかなかった」と述べている。

 カシージャスは、ファンに敬意を表しながら本拠地サンチャゴ・ベルナベウ(Santiago Bernabeu Stadium)のフィールドに出ると、レアルで勝ち取った19個のトロフィーの前でポーズを取り、「自己主張したいと思うのは、人間として当然だが、今はもう過ぎ去ったことだ」と語った。

「素晴らしかった部分と、このスタジアムでファンと過ごした最高の時間を抱いていくよ」

(c)AFP