【7月14日 AFP】スペイン第2の都市バルセロナ(Barcelona)の経済にとって観光収入は極めて重要だ。だが、地中海の象徴的な港町が、つまらないテーマパークと化さないよう闘う新市長にとって、毎年訪れる2700万人の観光客は頭痛のタネとなっている。

 バルセロナ中心部の建物の壁には「観光客は帰れ」と書かれた落書きが散見される。同市は1992年のバルセロナ五輪以来、急増した観光客への対応に苦しんでいる。

 クレジットカード大手マスターカード(MasterCard)の2013年の調査によれば、人口160万人のバルセロナは今や、英ロンドン(London)と仏パリ(Paris)に次いで多くの人が訪れる欧州3番目の観光都市。観光収入は同市経済の14%を占める。

 特に夏の観光シーズンが到来すると、マスツーリズム(大衆観光)の問題がクローズアップされる。建築家アントニ・ガウディ(Antoni Gaudi)が手掛けた建造物には長蛇の列ができ、中世にできた中心部ゴシック地区(Gothic Quarter)の狭い道は団体ツアーで渋滞し、ビーチはタオルを置く隙間もないほどだ。

 バルセロナ自治大学(Autonomous University of Barcelona)の地理学教授、フランセスク・ムニョス(Francesc Munoz)氏は「バルセロナは岐路に立っている。何も対策をとらなければ30~40年後には、完全に観光地に特化したイタリアのベネチア(Venice)のようになってしまう」とAFPに語った。