【7月22日 AFP】アフガニスタンの首都カブール(Kabul)のほこりっぽい路地では、戦争によって廃虚と化した街並みを舞台に、若者たちのグループがジャンプや宙返りといった技を披露しながら、防爆壁や検問所を駆け抜ける。フランスで1990年代に誕生した「パルクール」というスポーツに取り組むことで、彼らは自由を見出している。

 ランニングや曲芸、体操などを組み合わせて行うパルクールのトレーニングは、かつては宮殿として使用され、40年近く続いた戦争によって現在は廃虚と化した「ダルル・アマン(Darul Aman)」など、市内の見捨てられたかのような一角で行われている。

 パルクールでは、都市の障壁を利用し、体操競技のような跳躍・回転技などを次々と繰り広げながら走り回る。

 カブールを拠点に20人ほどで活動する同好会「アフガン・パルクール・ジェネレーション(Afghan Parkour Generation)」のハイル・モハンマド・ザヒディ(Khair Mohammad Zahidi)さん(21)らにとってパルクールは、旧支配勢力タリバン(Taliban)による攻撃への恐怖で常に緊張感が漂う市内にあっても、喜びや自由の感覚をもたらしてくれるものだという。

 ダルル・アマンの外でAFPの取材に応じたザヒディさんは「パルクールをやっている時は、自分たちへの自信が湧いてきて、興奮がみなぎるんだ。本当に楽しいよ」と話す。

■「パルクールの進歩で国も発展する」

 サッカーやボディービルを除き、ほとんどのスポーツを禁止したタリバンの統治時代(1996~2001年)とはずいぶん状況が変わった。

 米国主導のアフガン進攻によって2001年にタリバン政権が倒れて以来、かつては孤立していたアフガニスタンの社会は、欧米文化との接触によって変容を遂げている。

「アフガニスタンではまだ新しいスポーツなので、パルクールをやっていると多くの見物人が集まるよ。彼らにとってはとても面白いものにみえるようだ。僕たちの体の中にばねが仕掛けられていると思っているんだ」

 パルクールの前は体操競技に取り組んでいたアリ・アミリ(Ali Amiri)さん(19)は、「このスポーツに取り組むことで、僕たちの国を前進させようとしているんだ。パルクールが進歩すると、国ももっと発展する」と話す。

「パルクールをやると、心配事を気にせず、戦争のことを忘れ、僕らの国が直面する難問に立ち向かえる」(c)AFP/Mushtaq MOJADDIDI