【7月12日 AFP】イスラム過激派組織「イスラム国(Islamic StateIS)」は11日、イラク・ティクリート(Tikrit)近郊で昨年6月に数百人を殺害した際の新たな動画を公開した。犠牲者の大半は、ティクリート近郊のスペイサー(Speicher)軍事基地に所属していた主にイスラム教シーア派(Shiite)の新兵だった。

 ISの戦闘員に拉致され、イラクの故サダム・フセイン(Saddam Hussein)元大統領の宮殿の敷地内など複数の場所で処刑された新兵は最大1700人に上るとみられている。

 ISがインターネットに投稿した22分間の動画は、既に公開されていたものに加え今回初めて公開された殺害場面のカットも含まれており、改めてISの残虐さを示している。犠牲者の中には、自分はイラク軍に入隊したばかりだと説明して命乞いをしている者もいた。

 陰惨なこの動画には、拉致した犠牲者らが大型トラックから突き落とされ、浅い巨大な墓穴のそばに横たわって、1人ずつ射殺されていく様子など、工場で作業するように処刑が行われる場面が収められている。

 イラク政府側がティクリートを奪還した今年4月以降、約600人の遺体が掘り出されていたが、犠牲者の大半はチグリス川(Tigris River)に投げ込まれていた。

 動画が公開された4日前には、イラク・バグダッド(Baghdad)の裁判所が、「スペイサーの虐殺」と呼ばれているこの大量殺害事件に関する裁判で24人の男に絞首刑の判決を下していた。

 判決は主に、被告らの自供に基づいたもので裁判はわずか数時間で終了した。被告らは、自供は拷問によって引き出されたものだと主張している。(c)AFP