【7月11日 AFP】西アフリカ・リベリアの金鉱でピーター・コリー(Peter Kollie)さん(20)が地面を掘っていたところ、坑道が崩れ、一帯は一瞬にして暗い密室の墓場となった。

 コートジボワールとの国境地帯で行われている違法な金採掘。貧困から抜け出そうと必死で働く数千人の若者たちと同様、コリーさんも、危険な作業で命を落とす恐れがあることは覚悟の上だった。

 コリーさんが死亡して数日後、同じ鉱山労働者で、若者のための福祉ボランティアもしているロマックス・セイデー(Lomax Saydee)さんはAFPに「こういう事故で、僕たちにできることは何もない。遺体を放置し、しばらくその場所には近づかないようにする。それで、ある程度、日数が経ったら掘り起こしてみる。すると、たいてい、遺体のある場所から大量の金が見つかる」と話した。「自分の墓を掘っているような感じだ。もしも閉じ込められたら、誰にも助けてもらえないのだから」

 コリーさんが働いていたグランドゲデ(Grand Gedeh)郡の中心にある「ダーク・フォレスト(Dark Forest)」(暗い森)では、政府の認可を得ていない砂金採掘が活況を呈している。規制はほとんどない。

 広大な露天掘り鉱山で、30代の男たちに混ざって7、8歳の少年たちが働く。幅の狭い立坑は、金鉱脈のある深さ100メートルの地点まで掘られ、ロープとカゴを使って金鉱石を地上まで運ぶ。国連(UN)の専門家委員会がリベリアについてまとめた12年のレポートによると「坑道の崩壊による死亡は珍しいことではない」

 鉱山労働者は大半がリベリア人だが、コートジボワールの政治的暴力から逃れてきた元兵士などもいる。労働者たちは広大な野営地に防水シートを張り、その下でたき火をし、野生動物を焼いて食べて暮らしている。