【7月10日 AFP】英政府は9日、チュニジアのビーチリゾートで先月発生した襲撃事件後、地元当局が「十分な保護」を提供できていないと警告し、チュニジアに滞在している自国民に退避勧告を出した。

 フィリップ・ハモンド(Philip Hammond)英外相は英国放送協会(BBC)に対し、「特定の、あるいは差し迫った脅威を示唆する情報はないが、スース(Sousse)での襲撃以降、情報と脅威をめぐる状況が大きく動いてきており、さらなるテロ攻撃の可能性が極めて高いという認識に至った」と述べた。

 ハモンド外相は、「観光客をテロの脅威からしっかりと保護するためにはさらなる尽力を要すると判断した」として、渡航情報の変更は「適切で賢明」な措置だと説明している。

 英外務省は現在、チュニジアへの渡航は「やむを得ない場合を除いて」差し控えるよう呼び掛けており、「現在チュニジア滞在中の人については、どうしても残らざるを得ない理由がない場合、民間の移動手段による国外退避を勧告する」としている。

 英国最大の旅行業界団体「英旅行業協会(ABTA)」によると、先月26日の襲撃事件発生の時点ではパックツアーでチュニジアを訪れていた英国人が約2万人いたという。

 ABTA広報担当によると、すでにチュニジア旅行をキャンセルした人も多い中、まだ約3000人の英国人観光客がチュニジア国内にとどまっているとみられるという。

 旅行代理店のトムソン(Thomson)とファーストチョイス(First Choice)は、この退避勧告が出された数分後に、10月31日までのチュニジア行きの航空便を全てキャンセルしたと発表した。(c)AFP/Alice RITCHIE