【7月9日 AFP】2011年に化石が見つかった、丸くカールした角で縁取られた襟飾り(フリル)を頭部に持つ恐竜が新種と分かった。8日に発表された研究論文によると、トリケラトプスに代表される角竜類の仲間であるという。

 米オンライン科学誌プロスワン(PLOS ONE)に掲載された論文によると、奇妙な姿をしたこの恐竜は「ウェンディケラトプス・ピンホルネンシス(Wendiceratops pinhornensis)」と命名された。カナダ・アルバータ(Alberta)州南部でこの恐竜の骨約200個を最初に発見した著名な化石ハンター、ウェンディ・スロボダ(Wendy Sloboda)氏にちなんだ名前だという。

 約7900万年前に生息していたこの草食恐竜は、体重が1トンあまり、体長が約6メートルだった。全部で200個あまりの骨は2011年、米モンタナ(Montana)州との国境に程近いアルバータ州南部のオールドマン層(Oldman Formation)から採集されている。古生物学者チームによると、これらの骨は、大人の恐竜3頭と子ども1頭のものだという。

 米クリーブランド自然史博物館(Cleveland Museum of Natural History)の学芸員、マイケル・ライアン(Michael Ryan)氏は「胴体、脚、足などの一部が見つかっている。また意味深いことに、頭骨の一部も見つかっており、これによってこの新種恐竜の全体像を描くことができた」と話す。

「ウェンディケラトプスに関する最も興味深い点の一つは、北米で発見された中で最古のセントロサウルス類角竜の一種ということだ」と話すライアン氏によると、この恐竜は、アジアに生息していた「シノケラトプス」と呼ばれる、外見と大きさがよく似た角竜の近縁種という。

 このことについて同氏は、「次のようなことが起きたのかもしれないとわれわれは考えている。ウェンディケラトプス、もしくはそれに非常に近い近縁種の恐竜が、シノケラトプスの祖先にあたる恐竜を実際に生じさせた可能性があり、そして北米からアジアに移動した」と仮説を述べた。

 ウェンディケラトプスの鼻の部分の大きな角は、破片が小さすぎて完全な復元が困難なため、正確な形状はまだ不明。一方で頭部のフリルは、これまでに知られている恐竜では他に類を見ないものだと研究チームは指摘する。

 論文共同執筆者のカナダ・ロイヤルオンタリオ博物館(Royal Ontario Museum)古脊椎動物学担当学芸員のデービッド・エバンズ(David Evan)氏は「ウェンディケラトプスの幅の広いフリルの縁には、丸くカールした角が多数並んでおり、鼻には直立した大きな角が1本生えていた。また、両目の上にも角があった可能性が高い」と話し、「フリルに付いた、ねじ曲がった突起と角の数により、ウェンディケラトプスは、これまでに見つかった中で最も目を見張る姿をした角竜の一つになっている」と述べている。(c)AFP