【7月8日 AFP】スイス国営郵便事業会社スイスポスト(Swiss Post)は7日、小型無人機(ドローン)を用いた小荷物配達の試験を開始したと発表した。ただし「空飛ぶ郵便配達員」の活用が広範囲で始まるのはもう5年先になる見通しだという。

 同局幹部らは7日、ドローンを初公開し、郵便物配達能力の初期試験は今月末まで実施される予定だと述べた。真っ白な機体のドローンは、トイレの便座ほどの大きさの中空の輪部分と、そこから外に伸びる枝部分の先端に付いたプロペラ4本で構成され、輪の中央にスイスポストのロゴが入った黄色の箱が収容される。

 スイスポストは、声明で「ドローンは極めて軽量構造で、1回の充電で最大重さ1キロの荷物を10キロあまりの距離にわたって運ぶことが可能だ」と述べている。また、ドローンは「明確に規定された安全な飛行経路を通って自律的に飛行する。飛行経路は(同機の米製造元)マターネット(Matternet)が開発したクラウド・ソフトウェアで作成される」という。

 民間航空会社スイス・インターナショナル・エアラインズ(Swiss International Air Lines)の貨物部門、ワールドカーゴ(WorldCargo)と協力してプロジェクトを推進しているスイスポストは、広範囲での運用を開始するまでに徹底的な試験を実施すると強調し「約5年以内に現実的に商業的利用を開始するまでに、さまざまな種類の要件を明確にする必要がある」と述べている。バッテリー寿命の限界など、技術的な制約を調査するための試験も詳しく実施される見通しだ。また、国内全土に無人飛行機を送り出す際に適用される法規制の枠組みのための詳細な調査も含まれる。

 アルプス(Alpine)山脈を抱くスイスには人里離れて孤立した村落が多数点在しており、そうした集落でドローンによる配達が役立つ可能性が期待されている。現在のところ、ドローンは「嵐の後に外部から隔絶された地域に救援物資を届ける」ことなど、主に緊急時の利用を見込んでいるとスイスポストはいう。また実験室検査など最優先の委託貨物の緊急輸送も現実的に可能性が高いとしている。(c)AFP