【7月10日 AFP】近年、世界中で危機にさらされているもろくて壊れやすいサンゴ礁。そんなサンゴの一部を切り取ってより多くのサンゴを育てる、「サンゴ・ガーデニング」と呼ばれる科学に基づいた復元作業が普及し始めている。

 サンゴ・ガーデニングの仕組みはこうだ。海洋生物学者が生きているサンゴの先端を切り取り、海中に設置した人工の木のような苗床につり下げる。そこで成長させてから、海底の自然のサンゴ礁に「移植」する。

 米フロリダ(Florida)州の研究者たちは何年間もの実験と失敗を繰り返した結果、今ようやくその技術を、サンゴが受ける気候変動や産業汚染などの悪影響に対応するため、ダイビング旅行やエコツーリズム、子どもたちのサマーキャンプなどを通して、世の中に届けている。

「家の庭にバラの木があるとして、切り戻しをすれば、より健やかに、より鮮やかに生い茂るのと同じようなものだ」と、マイアミ大学ローゼンスティール海洋大気科学校(University of Miami Rosentiel School of Marine and Atmospheric Science)のステファニー・ショップメイヤー(Stephanie Schopmeyer)上級研究員は説明する。同校は、市民も参加できるサンゴ礁の救済プログラム「レスキュー・リーフ(Rescue a Reef)」を運営している。

 最近の移植活動には、ショップメイヤー氏のほか12人ほどのダイバーらが参加。晴れた春の朝に、ボートでまず苗床がある海域へ向かい、そこで育てられている「ミドリイシ」と呼ばれるサンゴを採取した後、それらを移植する実際の礁がある海域へ向かった。

 海中での作業は資格を持ったダイバーたちが行うが、観光客や学生らのボランティアたちは、指ほどの大きさのサンゴの一部を、エポキシ樹脂を使って接着させた小さなディスクを作る。それから、一部のボランティアたちはシュノーケルをつけて潜り、ダイバーたちがディスクを海底に固定する作業を見守る。