【7月6日 AFP】パレスチナ自治区ガザ地区(Gaza Strip)の難民キャンプで飼育されていた子ライオン2頭が5日、ヨルダンに移送された。飼育の経済的負担が大きくなりすぎたためだという。

 ともに生後5か月の雄「マックス」と雌「モナ」の2頭は、南部ラファ(Rafah)の難民キャンプに住むパレスチナ自治政府の警備職員、サーディ・ジャマル(Saadi Jamal)さんが飼っていた。

 6児の父であるジャマルさんは、子ライオンたちを遊園地や海辺のリゾート、レストランなどに貸し出す商売を計画していた。「とても悲しいよ。子どものようなものだったからね」(ジャマルさん)

 AFPの取材に応じたジャマルさんによると、毎日餌代として120シュケル(約4000円)が必要だが、イスラエルによる経済封鎖で物資の価格高騰が続くガザでは困難な額だった。

 ジャマルさんは2頭やほかの動物を収容する動物園の設立も考えていたが、ガザ地区を実効支配するイスラム原理主義組織ハマス(Hamas)からの用地提供はかなわなかったことから、ヨルダンの自然保護区に無料で譲ることに決めたという。

 子ライオンの移譲を仲介した動物愛護団体「フォー・ポーズ(Four Paws)」は先月、このまま子ライオンたちが成長すれば周囲の住民たちにとって危険な存在となり、「非常に不適切な環境にある」として、2頭の救済策を模索中だと説明していた。

 同団体は、マックスとモナの親は地下トンネルを通じてエジプトから密輸されたとみている。現在、ガザ地区内には推定40頭の大型ネコ科動物がいるという。(c)AFP