【7月6日 AFP】小さな靴店をスポーツ用品の世界的大企業に成長させ、壮大なマーケティング戦略を展開してきたナイキ(Nike)のフィル・ナイト(Phil Knight)会長(77)が来年退任する。同社が6月30日に発表した。具体的な退任日程は決まっていない。

 米オレゴン大学(University of Oregon)在学中に秀でた陸上選手だったナイト氏が1968年、自分の車にスニーカーを並べて売り始めたのが「ナイキ」の原点だ。現在同社はオレゴン(Oregon)州ポートランド(Portland)の広大な敷地に本社を構えている。ナイト氏は「私にとってナイキは単なる企業ではなく、人生の情熱そのもの」だと語っている。

 同社の発表によるとナイト会長は、来年中に自らが退任した後の会長に、マーク・パーカー(Mark Parker)現最高経営責任者(CEO)を推挙している。

■推定純資産は約3兆円

「ナイキ」は巨大なスポーツ・マーケティング企業に成長し、同社よりも古い歴史を誇るドイツの「アディダス(Adidas)」と肩を並べている。ナイキの「スウッシュ(Swoosh)」ロゴと「ジャスト・ドゥー・イット(Just Do It)」というモットーは、スポーツ界のありとあらゆる場面で目にするようになった。

 バスケットボールのマイケル・ジョーダン(Michael Jordan)氏、ゴルフのタイガー・ウッズ(Tiger Woods)氏やロリー・マキロイ(Rory McIlroy)氏、テニスのセレーナ・ウィリアムス(Serena Williams)氏やロジャー・フェデラー(Roger Federer)氏、サッカーのクリスティアーノ・ロナウド(Cristiano Ronaldo)氏やネイマール(Neymar da Silva Santos Junior)氏といったスポーツ各界を象徴する選手たちとスポンサー契約を結んでいる。

 13年には、優良株で構成するダウ工業株30種平均(Dow Jones Industrial Average)に加わった。前週発表した15年度の売上高は306億ドル(約3兆7500億円)、うち純利益は33億ドル(約4000億円)に上った。

 また、米誌フォーブス(Forbes)は、ナイト氏の純資産を243億ドル(約3兆円)と推定している。