【7月3日 AFP】自民党の国会議員らが勉強会で政府に批判的なメディアを懲らしめるなどと発言したことを受け、名指しで批判された沖縄タイムス(Okinawa Times)と琉球新報(Ryukyu Shimpo)の編集局長が2日、都内の日本外国特派員協会(Foreign Correspondents' Club of JapanFCCJ)で記者会見し、民主主義と報道の自由が危機的な状況にあると訴えた。

 自民党は先週、安全保障関連法案をめぐって政府の方針に批判的な報道機関に圧力をかけるべきとするような発言をした大西英男(Hideo Onishi)衆院議員をはじめとする勉強会の出席議員を厳重注意処分としている。

 琉球新報の潮平芳和(Yoshikazu Shiohira)編集局長は、「この国はもはや民主主義国家をやめ、全体主義の国に一歩一歩進んでいるという懸念を持たざるを得ない」との危惧を表明した。

 沖縄タイムスの武富和彦(Kazuhiko Taketomi)編集局長も、「(つぶさないといけないと)名指しされたのは沖縄の新聞だが、全国共通の問題が横たわっていることが認識できたと思う」と指摘。勉強会で「沖縄のゆがんだ世論を正しい方向に持っていく」との発言が出たことに触れ、「新聞社について『つぶさないといけない』と言われた以上に、『沖縄の世論をゆがめている』というのは沖縄県民をばかにした発言で憤りを感じている」と語った。

 勉強会での一連の発言については、FCCJも同日、安倍政権下で繰り返される「言論や報道の自由」を損なう発言や活動の「非常に危険なパターン」であり、深く憂慮するとの声明を発表した。

 この問題について安倍晋三(Shinzo Abe)首相は、国会で「報道の自由は民主主義の根幹だ」と答弁している。だが、勉強会での発言が問題になる以前から、自民党は報道機関に対する批判を繰り返してきた。昨年末の総選挙前には選挙報道に「中立」を求めるガイドラインを報道機関に送付し、メディア側の自粛を狙ったものとして批判を浴びている。(c)AFP