【6月30日 AFP】フランス東部リヨン(Lyon)近郊で起きたガス工場襲撃事件で、仏検察当局は30日、実行犯とされるヤシン・サルヒ(Yassin Salhi)容疑者について、「テロの動機」や、シリアのイスラム過激派組織「イスラム国(Islamic StateIS)」とのつながりがあったと明らかにした。

 26日の事件で逮捕されたサルヒ容疑者は、雇用主の男性を殺害し遺体の頭部を切断した上、工場の爆破を試みたとされる。パリ(Paris)のフランソワ・モラン(Francois Molins)首席検事は、事件は雇用主に対する個人的憎悪が動機の面もある一方で、捜査結果は「サルヒ容疑者の行為の背後にあったテロの動機を示している」と説明。

 また、切断した頭部を鎖で柵にくくりつけ、イスラム過激派の旗2つで囲んだ行為は「フランス国内でのテロ行為、特に不信心者ののどをかき切るよう頻繁に呼びかけるダーイシュ(Daesh、ISのアラビア語名の略称)の命令に非常に正確に呼応するものだ」と指摘した。

 容疑者は、切断した頭部などを写した写真2枚をシリアで活動するイスラム過激派のフランス人に送付したことや、事件の動機がテロであったことを否定している。だが、容疑者は昨年11月にシリアに渡航したフランス人過激派、セバスチャン・ユニス(Sebastian Yunis)容疑者(30)と「頻繁に接触」していた。

 ユニス容疑者の知人に対する警察の捜査では、ユニス容疑者との連絡に使われていた電話が押収された。電話のメッセージアプリで事件当日に交わされた会話でユニス容疑者は、サルヒ容疑者のことを知っていると話し、「彼があれ(工場襲撃事件)を実行した理由の一つ」は自分だと認めていた。

 また、会話の中でユニス容疑者は、サルヒ容疑者が送った写真を公開する許可をISに求めたとも語っていた。(c)AFP