【6月29日 AFP】チェスの盤面を複数使って行う多面打ちの対局で28日、87歳のハンガリー人女性が累計対局数で世界記録を更新した。これまでの記録はキューバのチェスプレイヤー、ホセ・ラウル・カパブランカ(Jose Raul Capablanca)さん(1888-1942)が1920年代に樹立した1万3545試合だった。

 新記録を達成したのは、ハンガリー人女性のブリギッタ・シンカ(Brigitta Sinka)さん。初めて多面打ちを行ったのは約60年前、1957年のチェス・オリンピアード(Chess Olympiad)での6面打ちだった。

 対局が行われたブダペスト(Budapest)でAFPのインタビューに応えたシンカさんは、「カパブランカさんのことを皆が思い出せるよう少し間を置きたかった。でも、私が駒を動かすのを大勢が待っていたので、淡々と続けるのみだった」と述べた。

 シンカさんは過去1週間で記録更新に必要な数百試合をこなし、28日には累計対局数1万3600を上回ったという。

 累計対局数が約9000となった2010年、あるチェス史の研究家からカパブランカさんの伝記における彼の累計対局数を指摘されたというシンカさん。「そのとき、初めて(彼を)意識し、記録に挑戦してみようと思った」と説明している。

 シンカさんは自身の全試合について、いつ、どこで、誰と対戦し、結果はどうだったのかをきちんと記録してきた。どの記録も証人の署名入りだという。近年心臓手術を3回受けているが、チェスの対局を止める予定は当分ないという。(c)AFP