【6月28日 AFP】(写真追加)数十年間の沈黙の後、韓国政府は朝鮮戦争(Korean War)とその後の冷戦(Cold War)時代に使用された地雷で死傷した自国民への賠償金の支払いを開始しつつある。

 地雷で毎年数百人が死傷しているラオスやカンボジアといった国々とは異なり、韓国の地雷被害者たちは世界に知られることなく苦しんできた。

 地雷禁止を求める韓国の市民グループ連合「ピース・シェアリング・アソシエーション(Peace Sharing AssociationPSA)」によると、過去数十年間に地雷で死傷した韓国人は少なくとも1000人に上ると推定されている。このうち2005年以降の死傷者は約30人だという。

 朝鮮戦争開戦から今年で65年。韓国では今年4月、地雷による負傷者や死者の遺族に対する賠償金支払いなどの経済支援を盛り込んだ法律が施行された。この法律成立に力を注いだ韓起鎬(ハン・ギホ、Han Ki-Ho)議員は、韓国が1993年以降、国連(UN)の地雷被害者支援に88億ウォン(約9億7000万円)を拠出したことは「痛烈な皮肉」だと述べた。元陸軍中将の韓議員はAFPに対し、「自国の被害者への支援がなきに等しいのでは全く意味をなさない」と強調した。

 韓国軍は、朝鮮戦争(1950~53年)の期間中と休戦協定の調印後、北朝鮮軍の侵入を防ぐため北朝鮮との境界付近に設置された地雷は80万個以上と説明。ただ、地雷禁止活動家らは、その数を100万個以上と推計している。

 地元住民や地雷禁止活動家らによると、1960年代に上空からまかれた地雷が特に多い。62年のキューバ危機や、68年に当時の朴正熙(パク・チョンヒ、Park Chung-Hee)大統領の暗殺を命じられた北朝鮮の部隊が韓国側に越境した事件で、北朝鮮からの侵入に対する不安が広まったのが要因だ。小さな対人地雷は表示されないまま最初に設置された場所に残るだけでなく、雨や地滑りなどで移動するものもあり、農業従事者や野原で遊ぶ子どもたちが犠牲になってきた。