【6月29日 AFP】イスラム過激派組織「イスラム国(Islamic StateIS)」が、シリアとイラクにまたがる支配地域で「カリフ制国家」の樹立を宣言してから1年。ISは未だ潤沢な資金と豊富な兵器を保持しており、専門家らは、この自称「国家」が今後長年にわたり存続する可能性があるとみている。

 支持者から「カリフ・イブラヒム(Caliph Ibrahim)」と呼ばれるISのアブバクル・バグダディ(Abu Bakr al-Baghdadi)最高指導者が率いるこの「国家」は、これまでに後退も繰り返し経験している。米軍主導の有志連合による制圧地域への空爆が続いている他、今月15日にはトルコ国境に近いシリア北部の要衝テルアビヤド(Tal Abyad)をクルド人部隊に奪われた。

 だが一方で、シリア中部の古代都市パルミラ(Palmyra)などの地域では、相次いで勝利を収めており、専門家らは、ISとその「カリフ制国家」が今後何年間にもわたり存続する手段を持ち合わせていると指摘している。

 シンクタンク「英王立国際問題研究所(チャタムハウス、Chatham House)」中東・北アフリカ地域プログラムの研究員、ハッサン・ハッサン(Hassan Hassan)氏は、「ISは反政府勢力として活動している。勢力は地域によって後退したり拡大したりするかもしれない。だが、組織はしばらくの間は存在し続けるだろう」「ISは少なくとも今後10年間は存続し、活動を続ける」との見方を示した。

 他の専門家らも、「カリフ制国家」の境界が今後変わる可能性は高いものの、その存在自体は消滅の瀬戸際にはほど遠いとの点で同意している。