【6月25日 AFP】中国で、誘拐された子どもを人身売買業者から買った夫婦に対する刑事罰の免除を廃止する法改正が進んでいると、中国メディアが25日報じた。これまでは人身売買業者には厳罰が科せられていたが、購入した夫婦は一定の条件の下で刑事罰を免除されていた。

 中国当局は、国内で横行する子どもの人身売買の取り締まりを強化している。国営英字紙チャイナ・デーリー（China Daily）によれば、2014年に中国警察当局によって救出された子どもは1万3000人を超えた。

 一部の中国人夫婦が誘拐された子どもを欲しがる背景には、一人っ子政策と、男児を重用する中国文化がある。

 現行法では、子どもの人身売買には厳しい判決が下され、死刑となる例もある。同紙が引用した最高人民法院（最高裁）の発表では、2010～14年に約1万3000人が人身売買容疑で逮捕され、うち半数以上が禁錮5年～死刑の判決を受けた。一方、子どもを買った者には最高で禁錮3年の刑が科されるが、子どもを虐待しておらず、救出活動を妨害しなかった場合は、刑事訴追が免除される。

 しかし、24日に全国人民代表大会（全人代）常務委員会（Standing Committee of the National People's Congress、NPCSC）に提出され、可決される見込みの新刑法では、「子どもを買った者への罰則が強化される」とチャイナ・デーリーは伝えている。新たにどのような刑罰が科されるかの詳細は明らかにしていない。また、子どもの虐待がなく救出妨害もしなかった場合は減刑の対象となるという。

 子どもの人身売買は、中国で非常に大きな社会問題と化している。警察当局は今年に入り、使われなくなった遺体安置所や工場に妊婦を閉じ込めて出産させ、生まれた新生児を販売していた人身売買組織を複数、摘発している。(c)AFP