■今なお残る深い憤り

 沖縄戦の死者数は、民間人が10万人以上、日本兵が8万人以上とされる。日本兵の抵抗は、司令官牛島満中将の自決によって幕引きとなった。

 太平洋戦争で最も血が流れたとされるこの激戦で、米兵も1万2000人以上が命を落としたとされる。多くの人が沖縄戦が日本本土での戦いの前哨戦になると恐れていたが、広島と長崎に原爆が投下されたこともあり、本土での戦いは訪れなかった。

 6月18日に「ひめゆり学徒隊」の解散が命じられた後、島袋さんもひどい感染症にかかり瀕死の状態になったが、米兵に助けられた。捕虜になった女性はみなレイプされ焼き殺されると聞いていたため、島袋さんも手りゅう弾を持っていたら自殺していただろうと語る。だが、助けてくれた米兵は彼女の傷を手当てして病院に連れて行ってくれたという。

 沖縄の人たちはまだ、あの戦争に対する深い憤りを抱えている。米国による長い占領の名残として、何万人もの米兵がいまだ沖縄に駐留している。その存在は緊張を生み、基地の問題もある。最近は基地の移設問題で抗議運動が続いている。

 この問題と並行して、現政権は自衛隊の活動範囲を広げようとしている。反対派はその動きを、違憲だと指摘している。

 島袋さんは、1972年に日本に返還された沖縄が、再び戦場となるのではないかと恐れている。

 起こったことについて、絶対に日本を許すことはできないと話す島袋さん。日本は憲法を改正して戦争のできる国に戻ろうとしており、そうなれば沖縄の島がまた最前線にされるのでは、と島袋さんは懸念している。(c)AFP/Alastair HIMMER