【6月23日 AFP】約4万5000年前、欧州に生息していた人類はネアンデルタール(Neanderthal)人だけだったが、その約1万年後──不完全な化石記録が正しければ──ネアンデルタール人は現生人類の祖先に取って代わられ、人類学最大の謎の一つが誕生することになる。

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 アフリカで発生し、「地球の征服者」にまでなった賢いヒト科動物の現生人類ホモ・サピエンス(Homo sapiens)によって、ネアンデルタール人は絶滅に追いやられてしまったのだろうか。あるいは、独立した系列として次第に消滅、現生人類に伝えた遺伝子の名残として、DNA中にその姿をとどめているのだろうか。

 22日の英科学誌ネイチャー(Nature)に掲載された最新の研究は、ホモ・サピエンスとネアンデルタール人との間に性交渉があったとする説を詳細に調査した。この説をめぐっては、専門家の間でも意見が分かれている。

 今回の研究では、性交渉はホモ・サピエンスが欧州に現れた直後から行われていたことが示唆されており、その根源は深いとされた。

 研究チームは、ルーマニア南西部のワセ(Pestera cu Oase)洞穴系で2002年に発見された4万年前の下顎骨からDNAを抽出した。この骨は、これまでに欧州で見つかった中で最古の現生人類のものと言われている。

 今回の研究を共同で主導した米ハーバード大学医学部(Harvard Medical School)ハワード・ヒューズ医療研究所(Howard Hughes Medical Institute)のデビッド・ライク(David Reich)氏は、「われわれの試算では、このサンプルのゲノム(全遺伝情報)の6~9%がネアンデルタール人由来のもの。このような大きな割合はこれまで確認されていない。現在の欧州人と東アジア人では約2%だ」と述べ、「このサンプルは、ネアンデルタール人との近縁関係が、これまでに調査したどの現生人類よりも強かった」と指摘した。

 その割合の大きさから、このサンプルに限っては、ネアンデルタール人とホモ・サピエンスとの性交渉が200年ほど前、つまり4~6世代前に行われたと研究チームは考えている。

 通説によると、現生人類の祖先ホモ・サピエンスは、アフリカ出発後の最初の中継地である中東を経て欧州に到着したという。

 中東でのネアンデルタール人とホモ・サピエンスとの交配については、約5万~6万年前に行われたことが、これまでの化石調査で示唆されている。だが今回の最新研究で、このプロセスがそこで終わりになった訳ではないことも分かったという。

「ネアンデルタール人とホモ・サピエンスとの交配は、最初にアフリカを出た現生人類祖先、すなわち中近東の人々に限定されるものではなかった」と論文は指摘し、「その後の時代に、欧州でも行われた可能性は高い」と続けている。(c)AFP