【6月22日 AFP】女性初のノーベル賞受賞者で、史上初めて2度の受賞を果たした人物としても知られる「キュリー夫人」ことマリー・キュリー(Marie Curie)氏の伝記映画の撮影が、ポーランドで進んでいる。映画では、女性科学者が直面する壁の高さもテーマの1つになるという。

 フランス、ドイツ、ポーランドの共同制作による映画『マリア・スクウォドフスカ・キュリー(原題、Maria Sklodowskya-Curie)』のメガホンを取るのは、ポストフェミニストでもあるフランス人のマリー・ノエル(Marie Noelle)監督。子供の頃からキュリー夫人に強い憧れを抱いていたという。

 キュリー夫人役はポーランド人女優カロリーナ・ゲルシュカ(Karolina Gruszka、34)が演じる。

 ポーランド生まれのキュリー夫人は、仏パリ(Paris)で研究活動中にポロニウムとラジウムを発見し、「放射能(radioactivity)」という言葉を発案した。1903年に女性初のノーベル賞受賞者として物理学賞を受賞。さらに1911年にはノーベル化学賞も受賞した。

「わずか6年の間に、彼女は子供を産み、研究への情熱を共有していた最愛の夫を失い、(既婚男性と)恋に落ち、スキャンダルの的となり、その上で2つ目のノーベル賞を受賞した」と、ロケ地のポーランド・ウッジ(Lodz)でノエル監督はAFPの取材に語った。

 映画の道に進む前は数学を学んでいたというノエル監督は、この映画を通じて、キュリー夫人の時代から100年が経過した今も、女性が科学界で認められるには乗り越えなければならない壁がある事実にも焦点を当てたいと話している。

「欧州では女子のほうが数学が得意なのに、高度な科学研究分野に占める女性研究者の割合は、たった13%だ」(ノエル監督)

「理系女子」問題をめぐっては先日、ノーベル賞受賞者の英国の生化学者ティム・ハント(Tim Hunt)氏が女性を蔑視した発言をしたとして、物議を醸したばかりだ。ハント氏は「女性が研究室にいると、3つの問題が生じる。女性に恋をする、女性が恋をする、女性を批判すると泣かれる」と述べたとされ、批判を受けて謝罪するとともに、英ユニバーシティー・カレッジ・ロンドン(University College LondonUCL)生命科学部の名誉教授職を辞職した。(c)AFP