【6月22日 AFP】(一部更新)イタリア検察当局が、マネーロンダリング(資金洗浄)と脱税の罪で中国人約300人と中国の大手国有銀行・中国銀行(Bank of China)のミラノ(Milan)支店に対する起訴を請求したことが21日、明らかになった。

 大手日刊紙レプブリカ(La Repubblica)によると、トスカーナ(Tuscany)州フィレンツェ(Florence)の検察当局は、州内で進めてきた犯罪組織の捜査に基づき、イタリア国内に在住する中国国籍の287人と、中国銀行の行員4人を起訴する方針。

 同州プラート(Prato)は中国系移民の一大コミュニティーがあり、「イタリアのチャイナタウン」の異名で知られる。しかし、中国系移民の経営する縫製工場の多くは、劣悪な環境で労働者を搾取している「スウェットショップ」だとして非難の対象となっていた。

 報道によれば、「カネの流れ(River of Money)」事件と呼ばれる今回の捜査が始まったのは2008年。検察当局によると、不法就労者の搾取や、偽造、脱税などが中国への不正送金の資金源となっていたとみられる。

 当局は、イタリア国内の複数の都市からMoney2Money(M2M)の送金サービスを通じて不法送金したとみられる関係者の取り調べを行っているが、中国銀行がこれまでに手数料として受け取ってきた金額は75万ユーロ(約1億円)を超えると伊メディアは報じている。

  レプブリカ紙によれば、2006~10年にイタリアから中国に不正送金された資金は45億ユーロ(約6300億円)に上り、このうち22億ユーロ(約3070億円)が中国銀行ミラノ支店を経由して送金されていたという。

 プラートは人口18万8000人のうち、中国人は約1万7000人とされるが、不法移民を含めるとおよそ5万人にもなるという。(c)AFP