■紛れもない大発見

「これは紛れもない発見だった」と、考古学専門家のChristophe Kunicki氏は記者らに語った。「この布の存在は、誰も知らなかった」

 埋葬布には「タ・ネジェム(Ta-nedjem)」と呼ばれる、約3400年前に死亡した男性の名前が記されている。ミイラを包む包帯を作るのに使われるのと同じ種類の布で作られている埋葬布には、背もたれが曲がり、脚が動物の脚の形になっている黒い椅子に座るタ・ネジェムの姿が描かれている。

 服装や装飾品、家具などから判断して、この男性は高い地位にある人物だったと専門家らは考えている。この人物はこれまで、研究者らにその存在を知られていなかった。

 また、埋葬布が本物であることに関しては、ほとんど疑いの余地はないと専門家らはみている。

 仏国立科学研究センター(National Centre for Scientific ResearchCNRS)の専門家、アニー・ガス(Annie Gasse)氏は「これが極めて優れた偽物製造者かつ卓越したエジプト学者の作品だとするなら、作るには特殊な顔料を使わなければならなかっただろう。それは不可能と思われる」と話している。(c)AFP/Joshua MELVIN