■「竜やボタン」といった中国の典型モチーフ

 ロンドンとアジアの懸け橋になりたいと語る胡兵の役割の一つは、ロンドンでファッションショーを開催したいと願う若手中国人デザイナーへの支援だ。

 ジョーンズ会長も、「欧米のデザイナーを中国に連れて行くといった、昔の帝国主義的な手法は取らないことが重要です。根本的に大事なのは、中国人デザイナーらがここロンドンでショーを開けるよう奨励することなのです」と話している。

 このところロンドン・メンズファッションウィークの公式日程に定期的に名を連ねている中国人デザイナーは、ザンダー・ゾウ(Xander Zhou)ただ一人。

 ザンダーはこれまで、彼が伝統的な「竜やボタンのモチーフ」と呼ぶものを意図的に避けてきたという。それはあまりにありきたりで使い古されているという指摘を恐れてのことだったが、今後はそれも変えていく方針だ。

 15日に発表された16年春夏コレクションでザンダーはAFPに対し、「過去のコレクションでは、他文化のモチーフを多く取り入れてきましたが、今回は思い切ってオリエンタルな要素を使いました」と話した。

「今ようやくその準備が整ったのは、私自身の成長も一つにはありますが、『中国人デザイナー』という固定観念が変化してきたことにも関係しています」

 ザンダーは、中国に焦点が当てられていることを歓迎している。これにより、北京に拠点を置く「ショーン・スエン(Sean Suen)」も、中国版GQがスポンサーとなり今回初めてロンドンでショーを開催することができた。

 ザンダーは、「中国では多くの意味で『いろんなことが巻き起こって』います…そしてメンズウエアについていえば、新進気鋭さで世界の注目を集め、人々の話題に上る場所、それがロンドンなのです」と語った。(c)AFP/Alice RITCHIE