【6月17日 AFP】英ロンドン(London)で開かれたメンズ・ファッションウィークの会場を目指す人の流れを、通りの反対側から眺めながら、蛍光色の安全ベストを着用した建設作業員のカール(Carl)さんは自問した。「どうなってるんだ?みんなおかしな格好して」

 しかしファッションエディターやバイヤー、ジャーナリスト、ブロガーにとってみれば、4日間にわたって開かれる16年春夏「ロンドン・コレクション・メン(London Collections Men)」は奇抜であればあるほど盛り上がる。

 会場の外には、ずば抜けて長身で長髪、黄色のハイヒールをぎこちなく履いた男性が、学生用のリュックサックを手にしている。

 その友人も負けず劣らず、水玉模様のスーツで決めている。二人の後ろにも、完璧な着こなしの客がいた。2個のサクランボのように見える帽子をかぶっている。

「以前はフード付きの上着にTシャツとジーンズばかりで、おしゃれには一切気を遣っていませんでした」と語るのは、ブロガーのゾカヤ・カマラ(Zokaya Kamara)さん(35)。この日はショートパンツにジャケットとネクタイを合わせてクールにまとめ、肩からカメラを提げている。「でも気にするようになってから、毎日褒められるようになったんです」「より多くの男性が、着こなしに気を遣うようになっていると思います。街でも、バス停でも」

 かつてはロンドン・ファッションウィークの添え物的な位置付けだった「ロンドン・コレクション・メン」というイベントが存在すること自体、カマラさんの意見の正しさが証明されている。

 2012年に始まったこのイベントは、今回で7回目を迎えた。77人のデザイナーに加え、フォーミュラワン(F1、F1世界選手権)チャンピオンのルイス・ハミルトン(Lewis Hamilton)をはじめとするアンバサダーらが、32のショーのためにロンドン入りしている。

 英の新星デザイナー、クレイグ・グリーン(Craig Green)のショーに足を運んだ有名デザイナーのポール・スミス(Paul Smith)はAFPの取材に対し、「この週末、(イベントの)存在感が特に増してきましたね、本当に素晴らしいことです、パリ(Paris)もあればミラノ(%%%Milan%)もあるし、競争はとても激しいですからね。人々が集まってくれるのは良いことです」とコメントした。