【6月17日 AFP】(一部更新)韓国保健福祉省は17日、中東呼吸器症候群(Middle East Respiratory SyndromeMERS)コロナウイルス(MERS-CoV)による死者が20人に達したと発表した。隔離対象者は6500人以上に増加したが、隔離対象者以外の感染例が相次いでいることから、当局の管理能力を批判する声も上がっている。

 20人目の死者は17日朝に亡くなった54歳の女性で、今月5日にMERSに感染しているとの診断を受けていた。

 同省は前日、MERSの感染拡大の峠は越え、新たな感染例は減っていると述べていたが、17日にはさらに8人の患者が確認されたと発表した。このうち4人は、今回の感染拡大の中心地と考えられているソウル(Seoul)のサムスン医療院(Samsung Medical Centre)で感染した。

 これまでの感染のほぼ全ては病院内に限られているが、ここ数日間で新たに確認された感染者数人は、隔離対象となっていなかった。

 韓国南東部・大邱(Daegu)で16日に感染が確認された52歳の公務員は、13日から症状が出ていたが仕事や銭湯に行くなど普段と同じように過ごしていた。この患者は、MERSを発症しサムスン医療院に入院していた母親を5月下旬に見舞っていた。

 また、12日にMERS感染が確認されたサムスン医療院の救急車運転手の男性(55)も、2日に熱などを含む症状が出ていたにもかかわらず、地下鉄を利用した通勤を続けていた。

 保守系の大手日刊紙・東亜日報(Dong-A Ilbo)は、政府がMERSの流行を「非現実的」に軽視していると批判。17日の社説で「保健当局の楽観的な言葉や予測はこれまでのところ、すべて誤っていたことが分かった。この状況を今後、(保健福祉相の)文亨杓(ムン・ヒョンピョ、Moon Hyung-Pyo)氏がコントロールできるかどうか憂慮している」と述べている。(c)AFP