【6月14日 AFP】トルコ南東部のシリアとの国境の町アクチャカレ(Akcakale)で13日、激化するクルド人部隊とイスラム過激派組織「イスラム国(Islamic StateIS)」との戦闘から逃れようと国境に殺到するシリア人難民に対し、トルコ治安部隊が放水や威嚇射撃を行って入国を阻止した。現地で取材中のAFP写真記者が確認した。

 シリア人難民らは国境の周辺に設けられた有刺鉄線の囲いの中に留め置かれている。

 アクチャカレから国境を挟んですぐのシリアの町テルアビヤド(Tal Abyad)はISに制圧されているが、英国に拠点を置く非政府組織(NGO)「シリア人権監視団(Syrian Observatory for Human Rights)」によれば現在、クルド人民防衛部隊(Kurdish People's Protection UnitsYPG)が町から10キロメートル以内まで迫っている。

 国境には戦火を逃れようとするテルアビヤドの住民が続々と詰め掛けており、緊張感が高まっている。トルコの警察と軍は国境フェンスを乗り越える者がないよう厳重な警備を敷き、フェンスに近づく者がいると放水や威嚇射撃で遠ざけようとしているという。避難してきた女性の多くは頭から全身を黒い服とベールで覆い、所持品を入れた白い袋を頭部に乗せている。

 トルコは2011年にシリアで内戦が始まって以来、レジェプ・タイップ・エルドアン(Recep Tayyip Erdogan)大統領の掲げる政策に従って、180万人のシリア難民を受け入れてきた。しかし、トルコ政府は11日、戦闘激化を受けてここ数日で数千人のシリア難民が国境に殺到したことを受け、難民のトルコ入国を制限する方針を明らかにした。

 ヌーマン・クルトゥルムシュ(Numan Kurtulmus)副首相は、今後アクチャカレでは人道危機とみなされる場合のみ入国を認めると説明した。ただ政府は、難民受け入れに関する基本政策に変更はないと強調している。

 トルコ当局によると、この数日間で国内に流入したシリア人は、既に1万3500人を超えた。

 トルコ政府は数か月にわたり、トルコの負担が増す一方で欧米はシリア難民問題を傍観していると非難を強めており、4月にはこの4年間で難民対策に55億ドル(約6800億円)を費やしたと発表していた。(c)AFP/Bulent KILIC