【6月10日 AFP】1937年、世界一周飛行中に太平洋上で消息を絶った米国の女性飛行士、アメリア・イアハート(Amelia Earhart)──最後のフライト直前にカリフォルニア(California)州の飛行場で撮影されたイアハートのものとされる映像の存在が9日、明らかになった。

 新たにその存在が判明したのは、家庭用撮影機で撮影された画質の粗い約3分30秒の映像で、出発前日に微笑みをたたえ、自信に満ちた様子で機体に乗り込む伝説の女性飛行士イアハートの姿が捉えられている。ただ、同年7月2日にこつ然と姿を消したイアハートの謎を解明する手助けにはならないとみられる。

 当時39歳のイアハートは、ナビゲーターのフレッド・ヌーナン(Fred Noonan)と共に、パプアニューギニアから給油のためにハウランド(Howland)島へと向かう途中で消息を絶った。2人は地球一周飛行の最終段階にあった。

 この映像については、イアハートがカリフォルニア州バーバンク(Burbank)の飛行場でロッキード・エレクトラ(Lockheed Electra)10E機の点検時に、公式カメラマンのアルバート・ブレスニック(Albert Bresnik)氏に付き添った弟のジョン・ブレスニック(John Bresnik)氏が、1937年5月20日に撮影したものとみられるという。

Amelia Earhart's Last Photo Shoot(アメリア・イアハートの最後の撮影)』と題されたこの映像と、同タイトルの本を近く発表する予定という歴史家のダグラス・ウェストフォール(Douglas Westfall)氏は、約10年前、ジョン・ブレスニック氏の息子からこのフィルムについて初めて連絡をもらったのだという。それは、約半世紀にわたって父親が書斎で保管していた歴史的な16ミリフィルムがみつかったとの連絡だった。

 ウェストフォール氏によると、一部の専門家らは、この撮影フィルムのイアハートは、1937年3月にオークランド(Oakland)空港で最初の世界一周飛行を試みたときの姿だと主張している。最初の挑戦は、ハワイの滑走路で起きた「グラウンドループ(滑走中のヨー方向のスピン)」により機体がひどい損傷を受け中止となっている。

 だが、数人の歴史家や技術者、操縦士らとの話し合いを重ね、このフィルムが、5月の出発前にバーバンクの飛行場で準備をしている様子を映したものであるとの結論に至ったという。(c)AFP/Guillaume MEYER