■売れ残り食品と世界の動向

 捨てられる運命にあった食品を利用した料理を提供するレストランや、残り物をうまく使う方法を教える料理教室、不要な食品を分け合うための登録制度といった動きは、米ニューヨーク(New York)からデンマークの首都コペンハーゲン(Copenhagen)に至るまで世界のあらゆる場所で生まれている。

 フランス人のニコラ・シャバンヌ(Nicolas Chabanne)さんは、ねじれたニンジンから奇妙な形のイチゴまで、通常の販売規格に合わないあらゆる食品を取っておき、「グール・カセ(Gueules Cassees、つぶれた顔の意)」のブランド名を付けてスーパーで販売する取り組みを1年前から行っている。ブランドのロゴは、にっこり笑った口から1本の歯がのぞくリンゴだ。

「味はまったく同じなのに、3~5割安い」ことが消費者の心をつかみ、プロジェクトが大成功したため最近、ノルマンディー(Normandy)地方の酪農場から仕入れた形の悪いカマンベールチーズなど、新たな商品を追加した。この酪農場では、年間45万個のチーズの塊が廃棄されているという。

「グール・カセ」ブランドのロゴはまた、顧客を幻滅させることを嫌がるスーパーマーケットによって廃棄されてきた消費期限間近の食品に「花」を添えてもいる。フランス国内のスーパー5000店舗で販売されているこのブランドについて、日本やブラジルなど約17か国から関心が寄せられている。

「グール・カセ」に連なる生産者の一人、南仏でサクランボ農園を営むニコラ・ベンツ(Nicolas Benz)さんは「生産者にとって、自分の木が実を付けるのを1年中待った末にそれを捨てるというのは、たまらない」という。今は、機械による収穫では取り残される小さな粒まで生かすために手摘みに戻したという。(c)AFP/Fran BLANDY