【6月7日 AFP】イエメンのイスラム教シーア派(Shiite)系反政府武装勢力フーシ派(Huthis)は6日未明、サウジアラビア南部ハミースムシャイト(Khamis Mushait)に向けて短距離弾道ミサイル「スカッド(Scud)」1発を発射した。サウジアラビア当局は、自国の防空軍がパトリオット(Patriot)ミサイル2発を発射し、このスカッドミサイルを撃墜したと発表した。フーシ派がサウジに弾道ミサイルを発射したのは初めてとみられる。

 国営サウジ通信(Saudi Press AgencySPA)が伝えたサウジ当局の声明によると、スカッドは現地時間6日午前2時45分(日本時間同8時45分)ごろ、イエメン北部のサーダ(Saada)州にあるフーシ派の拠点から発射された。その後、今年3月26日からイエメンの反政府武装勢力に空爆を行っているサウジアラビア主導の連合軍が、今回のスカッド発射に使用された発射装置を破壊した。

 フーシ派と協力関係にある武装勢力の報道官はイエメン国営のサバ(Saba)通信に対し、スカッドはハミースムシャイトにある空軍基地を狙っていたと述べた。イエメンの武装勢力はこれまでにもサウジ領内に砲撃は行っていたが、弾道ミサイルを使用したのは初めてとみられる。

 連合軍はフーシ派のミサイルを破壊してきたが、連合軍の報道官が衛星テレビ局アルアラビーヤ(Al-Arabiya)に語ったところによると、イエメンの反政府武装勢力は紛争勃発前に入手していたとみられるミサイル約300発を複数の洞窟に隠しているという。

 スカッドが発射された前日の5日にはアリ・アブドラ・サレハ(Ali Abdullah Saleh)前イエメン大統領派がフーシ派の支援を受けてイエメンとの国境に近いサウジのジザン(Jizan)とナジュラン(Najran)を攻撃して数時間の戦闘となり、連合国側の発表によるとサウジ兵4人と武装勢力の数十人が死亡したほか、イエメンのタイズ(Taez)やアデン(Aden)などでも戦闘で民間人を含む多数の死傷者が出た。

 5日の一連の戦闘の数時間前にフーシ派は2000人以上が死亡した紛争終結を目指してスイス・ジュネーブ(Geneva)で開かれる会議に出席すると表明したばかりだった。国連(UN)は6日、和平会議はジュネ―ブで今月14日に始まると確認した。(c)AFP/Jamal al-Jabiri