【5月28日 AFP】(一部更新)国際サッカー連盟(FIFA)元副会長のジャック・ワーナー(Jack Warner)容疑者が、1998年と2010年のW杯開催地決定における過程で賄賂を要求し受け取っていたとして、27日に母国トリニダード・トバゴで逮捕された。

 ワーナー容疑者は、フェイスブック(Facebook)上で疑惑を否定していたが、その後出頭した。

 この結果、W杯開催地の決定が汚職にまみれていることが浮き彫りとなったが、これはサッカー界で最も大きな意思決定力を持つFIFAに向けられている疑惑の氷山の一角に過ぎない。

 米国のロレッタ・リンチ(Loretta Lynch)司法長官は27日、「責任ある立場を悪用して賄賂やキックバックとして数百万ドル規模の金銭を受け取った」として、共謀と汚職の罪で前職を含むFIFA幹部ら9人と、企業幹部5人を起訴したと発表しており、ワーナー容疑者もそのリストに名を連ねていた。

 72歳のワーナー容疑者は1990年代初頭以来、その立場を利用して私腹を肥やしていたとされており、起訴資料は、「これは一部に過ぎないが、ワーナーはFIFAの実行委員として参加した1998年と2010年のW杯開催地の選定を含め、公務において賄賂を要求し受け取っていた」としている。

 1998年のW杯は、候補地争いでモロッコに勝ったフランスで開催され、2010年大会は南アフリカで開催されることになったが、会見でリンチ司法長官は、この過程で買収があったとしている。

「2004年ごろに2010年W杯開催地の選定が始まり、最終的に南アフリカがアフリカ大陸初のW杯開催地となった。だが、この歴史的イベントの陰で、FIFA幹部や関係者は賄賂を使って開催地決定に影響を与え、プロセスを腐敗させた」

 2011年に会長選での買収疑惑でFIFAを去ったワーナー容疑者は、北中米カリブ海サッカー連盟(CONCACAF)の会長やトリニダード・トバゴ・サッカー協会(TTFA)の特別アドバイザーを務めていた。(c)AFP