【5月27日 AFP】デンマークのラジオ局が25日、子ウサギを自転車の空気入れで殴り殺し、その様子を生放送した。ラジオ局側は、畜産業界の残酷な実態に焦点を当てる狙いがあったと説明しているが、同局には翌日、非難が集中した。

 ラジオ24syv(Radio24syv)はツイッター(Twitter)で、「余興のつもりでやったのではない」「人間の食用として、毎日数千の動物が死んでいる」と語った。

 同局によると、動物愛護に対するデンマーク国民の「偽善」を浮き彫りにする目的で、パーソナリティーのアスカ・ユール(Asger Juhl)氏が同日の生放送中に、アラン(Allan)と名付けた子ウサギの頭を繰り返し殴って殺したという。

 さらに同局は声明で、「われわれは無残な一生を送った動物を買って食べている。スタジオ内で殺されたウサギと同様、管理された状況下で殺された動物たちだ」と主張した。

 ユール氏はテレビ局TV2に対し、「頸椎(けいつい)を折るため、首の上を強く2回殴った」「オールボー動物園(Aalborg Zoo)の飼育員に教わった。その飼育員はヘビの(食用にする)ために毎週数匹の子ウサギを殴り殺している」と語った。

 ユール氏は死んだウサギについて、自宅に持ち帰って、6歳と8歳の子どもたちと一緒に皮をはいで肉を切ったと明かした。後にシチューを作って、朝のラジオ番組を担当しているパーソナリティーと一緒に食べるとつもりだという。

 ラジオ24syvは、「世界で最も産業化が進んだ農業部門」について掘り下げて伝えたかったとしている。同局によると、デンマークの畜産業界は「合理化により母ブタが育児能力を超える数の子どもを産むため、毎日2万5000匹の子ブタを殺さざるを得ない状況が生まれている」という。

 番組に対する国際社会の反応は、否定的なものが圧倒的に多く、同局が、「デンマークは肉製品の消費量が世界で最も多い国の一つで、消費者らは何の疑問も抱かずに安い肉を買っている」と英語で声明を出した後も、ソーシャルメディアではユール氏を「病んでいる」、「サディスティックだ」と非難する声が上がっている。(c)AFP/Sören BILLING