【5月22日 AFP】米首都ワシントンD.C.(ワシントンD.C.)の高級住宅地で前週、会社社長一家3人と家政婦1人が殺害されたうえ家に放火される事件があった。地元メディアによると、警察は宅配ピザからDNAを採取して容疑者(34)を特定し現在、容疑者の行方を追っている。

 事件は14日、建材会社アメリカン・アイアン・ワークス(American Iron Works)の社長兼CEO(最高経営責任者)のサバス・サボプロス(Savvas Savopoulos)氏宅が燃え、焼け跡からサボプロス氏と妻のエイミーさん、息子のフィリップ君(10)、家事手伝いの女性ベラリシア・フィゲロア(Veralicia Figueroa)さんの遺体が見つかったもの。遺体には縛られ殴打された形跡があったという。事件後間もなく、サボプロス氏宅から数キロ離れた場所で同氏の青いポルシェ(Porsche)が発見された。ポルシェも燃やされていた。

 事件について米紙ワシントン・ポスト(Washington Post)は21日、4人の遺体が見つかった前日の13日夜に宅配ピザチェーン「ドミノ・ピザ(Domino's Pizza)」がサボプロス氏宅にピザを配達しており、このピザ生地のかけらから採取したDNAがダロン・ディロン・ウィント(Daron Dylon Wint)容疑者(34)のものと一致したと伝えた。ピザが配達された当時、サボプロス氏ら4人はウィント容疑者に拘束されていたとみられる。同紙はまた、火災が発生する直前にサボプロス氏の個人秘書が同氏宅に現金4万ドル(約480万円)が入った包みを届けていたと報じている。

 警察はウィント容疑者を第1級殺人で指名手配したと発表し、報道によれば共犯者存在の可能性も視野にいれているという。ワシントンD.C.首都警察のキャシー・ラニアー(Cathy Lanier)署長は記者会見で「現時点で事件は行きずりの犯罪には見えない。容疑者の仕事とサボプロス家の事業には関連性がある」 と述べ、ウィント容疑者がサボプロス氏の会社の元従業員だったとの見方を示した。

 事件が凶悪犯罪とはほぼ無縁な高級住宅地で発生したということもあり、 残忍な殺人事件に米首都の住民は衝撃を覚えている。現場は大使館や外交官の邸宅が多い地区でジョー・バイデン(Joe Biden)副大統領夫妻の公邸もある。(c)AFP