■新しいものに対するショック

 宮本さんが直面した敵意は、国外に向けた「クールジャパン」のアピールと、2020年に開催される東京五輪に向けた外国人観光客の誘致を展開する政府の方針とは対照的だ。

 一方で、バングラデシュや日本、ロシアの血を引くタレントのローラ(Rola)さんや、英国人と日本人の親を持つ女優・歌手のベッキー(Becky)さんの存在は、ある意味日本が、変化に対して開かれた態度を持っている国であるとの証明だという意見もある。

 テレビ番組への出演も多い心理学者の晴香葉子(Yoko Haruka)さんは、一部の保守的な人々が宮本エリアナさんを「日本代表」というイメージで見ることができなかったのかもしれないと指摘。新しいものに対するショックが生まれたものの、これをきっかけに日本がさらにグローバルな視点を持つことができるかもしれないと述べている。

 日本では、異人種間のカップルの下で生まれる子どもは全体のわずか2%。宮本さんは、白人やユーラシア系の出自が好まれる風潮があると話す。

「日本は、黒人のモデルやタレントって本当に少ないんですよ。メジャーなのは、ローラさんやベッキーさんのような方が多いんです。どんな人種の方でも、活躍できるような日本に変えていきたいなと思います」

 宮本さんは、ミス・ユニバース日本代表の立場を生かして「リーダーのような存在になりたい」と話す。また、今年のミス・ユニバース決勝で優勝すれば、ニューヨーク(New York)のトランプ・タワー(Trump Towers)で1年間の豪華な生活を送ることとなり、自分が気にかけている性同一性障害といった問題に対する影響力も大幅に強まる。

 だが、政治家になるつもりは今のところないという。「政治については深くは考えてはいないです。総理大臣とかは全く考えていないです!」と笑った。(c)AFP/Alastair HIMMER