【5月22日 AFP】宮本エリアナ(Ariana Miyamoto)さん(21)がミス・ユニバース(Miss Universe)日本代表の選考会に出場したきっかけは、自分と同じ「ハーフ」の友人が自殺したことだった。そうして見事、日本代表に選ばれた後も、肌の色を理由とした暴言に堪え忍ばなければならなかった。

 だが宮本さんははそうした反発に意気消沈するどころか、英国人のスーパーモデル、ナオミ・キャンベル(Naomi Campbell)さんが一世代前にファッション業界で成し遂げたように、ミス・ユニバースの日本代表として人種的な偏見を打破する一助となりたいと決心した。

 日本人の母とアフリカ系米国人の父を持つ宮本さんは、自分のことを「思ったことを崩さない」人間だと話している。AFPとのインタビューでは「批判は覚悟の上で出場しました。全く傷ついていないと言えばうそになるけど。でも、もっと頑張ろうという刺激にはなりました」と語った。

 ミスコンへの出場について「変なプレッシャーはなかったですね。出場したきっかけも友達を亡くして、その人のためにもという思いがありました」「人種の問題を訴えようと思って出場した」と話した宮本さん。長崎県の港街、佐世保市で育った子ども時代には、学校でいじめを経験したこともあった。

 黒人の血を引く日本人として初の代表となったことを「いい立場を与えてもらった」と捉えており、「トップバッターは何でも大変だなと思います。そういった面では、ナオミ・キャンベルさんってすごいですよね」と語った。

 宮本さんが優勝を飾った今年3月以降、日本代表は「ハーフ」ではなく「純日本人」を選ぶべきとの批判がネット上で相次いだ。

 褐色の肌と173センチという身長で周囲の視線を集める宮本さんは、これまでの人生でもたくましさを身につけていく必要があったという。

「小さい時から批判やいじめを受けてきたので、自分を保つためにも精神的に強くなったと思います」。日本語が母語の宮本さんは、ウエートレスから英語のメニューを渡されると、恐怖におののくふりをして顔をしかめた。

「小さい頃はどうしても一人だけ浮いてしまう存在だったので、自分だけ目立たないようにしよう、みんなと合わせようといつも思っていたんです。でも今は思っていることは伝えたい、自分らしくいたいと思う」

「いい意味で革命を起こしたいですね、すぐには変わらないですけど。私の発言で少しでも世間が変わるような人物にはなりたいと思います。血が混ざった子はこれからもっと増えていくから、そういった子たちが暮らしやすいようになっていってほしい。100~200年経つと『純日本人』って本当に少なくなると思うんですよ。今のうちに少しずつ変えていかないといけないのかなって思います」