【5月19日 AFP】スマートフォン(多機能携帯電話)の特許侵害をめぐって米アップル(Apple)が韓国サムスン電子(Samsung)を訴えた訴訟で、米連邦巡回控訴裁判所は18日、サムスンに9億3000万ドル(約1100億円)の賠償金支払いを命じた2012年の判決の一部についてアップルの主張を棄却し、審理を連邦地裁に差し戻して賠償金の再算定を命じた。

 カリフォルニア(California)州の連邦地裁の陪審団が2012年に下した当初の評決では、サムスンに賠償金10億ドル(約1200億円)以上の支払いが命じられたが、その後ルーシー・コー(Lucy Koh)判事が4億5000万ドル(約540億円)減額し一部の再審理を指示。再審理で、賠償金総額は9億3000万ドルとされていた。

 今回差し戻されたのは、連邦地裁判決でサムスンがアップルのスマートフォン「iPhone(アイフォーン)」に特有のデザインの一部を模倣し、アップルの「トレードドレス」(視覚的な外観の特徴)を侵害したとされる点で、再算定の対象となる賠償金額は3億8200万ドル(約458億円)。

 米ワシントンD.C.(Washington D.C.)の控訴裁は、四隅の角を丸くした形状などについて、アップル製品だけのデザイン特性とはいえず、スマートフォンの機能的な特徴の一つにすぎないと指摘し、米独占禁止法は「製品の物理的なデザイン」に関する独占は「非機能的なものに限る」との制限を設けているため、アップルの賠償請求は認められないと判断した。

 一方、その他のデザインやスクロール機能・ズーム機能などの技術についてはアップルの商標・特許が侵害された点を認め、賠償額を維持した。(c)AFP