【5月17日 AFP】エジプトの裁判所は16日、事実上のクーデターで2013年に失脚したムハンマド・モルシ(Mohamed Morsi)元大統領(64)に対し、4年前に起きた大量脱獄事件に関与した罪で「死刑判決が妥当」との判断を示した。モルシ氏の出身母体のイスラム組織「ムスリム同胞団(Muslim Brotherhood )」幹部やパレスチナ人ら100人以上にも、同じ罪状で死刑が妥当との判断が下された。

 モルシ氏らは、2011年1月に当時のホスニ・ムバラク(Hosni Mubarak)大統領政権の打倒を求めるデモ隊がエジプト各地の警察署に放火し、多数の受刑者が脱獄した事件で、同胞団メンバーと共謀して襲撃を行わせた罪に問われている。モルシ氏は当時、他の同胞団幹部らと共に当局に身柄を拘束され刑務所に収監されていた。

 ムバラク政権打倒後の2012年、エジプト初の民主的な選挙でモルシ氏は大統領に選出されたが、13年7月に軍によって大統領職を解任され、その後モルシ氏支持派によるデモ鎮圧の一環で当局に逮捕された。

 エジプトの法律では、死刑判決についてはイスラム法に関する政府の諮問機関である大ムフティー(最高イスラム法官)の意見を仰ぐと定められており、裁判所は助言を得た後、6月2日に最終的な判決を言い渡す予定。モルシ元大統領をはじめ被告らには、上訴する権利が認められている。(c)AFP/Tony Gamal-Gabriel