■戦闘の中で育って

 アウロラさんは、当時は何のために戦っているのか分からなかったという。「軍に入ると、大義のために戦うのだと言われるけれど、それが何なのかさっぱり分からなかった。『ここに行け』と言われ、ただ命令に従っていた」

 政府軍との戦闘で迫撃砲を発射していた時、相手側からの爆撃を受け、アウロラさんは吹き飛ばされた。意識不明のまま、FARCの医師らによる手術を受け、ずたずたになった左脚は切断された。その後、民家に預けられたアウロラさんは、同じ家にいた仲間から逃亡しようと説得された。

 アウロラさんはその後、元子ども兵にカウンセリングなどの支援を行う政府のプログラムに参加。現在は夫もでき、高校卒業後は化粧品について勉強したいと話している。「約5年間を左翼ゲリラと共に過ごして、そこで育った。離れてからはとても辛い。軍の規則に従って生きることに慣れてしまったから」

 中でも辛かったのは、母親との再会だった。「母はすごく泣いて、『いったい何があったの?健康体だったのに、今は片脚がないなんて』と言った」

 現在は、同じく戦闘で負傷した政府軍の兵士らと共に、リハビリを受けている。自分の身に起こったことについて、憎しみの感情はないという。「政府軍は政府軍なりにやらなければいけないことをしていたのだと、少しずつ分かってきた。彼らも、自分たちが吹き飛ばされないように戦わなければいけなかった」

(c)AFP/Lissy DE ABREU