【5月12日 AFP】ニロファル・ラフマニ(Nilofar Rahmani)さん(23)はタリバン(Taliban)政権崩壊後のアフガニスタンで初の女性パイロットだ。

 カーキ色のオーバーオールを着てパイロット用のサングラスをかけ、黒いスカーフで髪を隠したラフマニさんが、他に女性がまったくいない首都カブール(Kabul)の空軍基地の滑走路を堂々と歩く姿には印象的な存在感がある。

 ラフマニさんは灰褐色の丘に囲まれた同空軍基地で「子どもの頃、空を飛ぶ鳥を見たときから、 飛行機を操縦したいと願っていました」とAFPの記者に語った。「アフガニスタンの多くの少女は将来の夢を持っています。でも、脅迫を受けるなど数々の問題が夢の実現の妨げになるのです」

 カブール育ちのラフマニさんは、女性は家にいるべきという古い考えを持つ親族に秘密にしたまま、2010年に空軍の訓練プログラムに登録。その2年後、タリバン政権崩壊後のアフガニスタンでは女性として初めて固定翼機のパイロットになった。

 以前なら考えられなかったこの功績で、ラフマニさんは米国務省の「国際勇気ある女性賞(International Women of Courage Award)」を受賞し、ソーシャルメディアでは米俳優トム・クルーズ(Tom Cruise)さんが米海軍パイロットを演じた1986年の映画にちなみ「アフガニスタンのトップガン」というニックネームで呼ばれるようになった。

 タリバン政権以前のアフガニスタンにも女性パイロットはいたと思われるが、その詳細は知られていない。タリバン政権崩壊から14年近くが経過したアフガニスタンでは女性の社会進出が進んで女性政治家や軍人も珍しくなくなり、女性が男性の付き添いなしで外出できなかった頃と比べると社会は大きく変わった。