■一人一人の心がけから

 学術的な研究ではないにせよ、スポーツ市場調査会社レピュコム(Repucom)が集めたデータを基に行われたこの調査は、スポーツ界の同性愛嫌悪に詳しい7人の専門家によって確認されている。

 豪メルボルン(Melbourne)のビクトリア大学(Victoria University)で研究を行うキャロライン・シモンズ(Caroline Symons)氏は、「スポーツ界で生きていける性的少数者もいますが、多くは自分の性的指向を明かすことが難しいと考え、一つ一つの言動に気をつけながら、異性愛者に見られようとしているのです」と語った。

「アイデンティティーを隠すためのすべての努力は、スポーツを楽しんだり、プレーを向上させたりすることを妨げます」

 同じくビクトリア大学で研究を行うグラント・オサリバン(Grant O'Sullivan)氏は、競技会場や更衣室で、同性愛者を異端視するような冗談を気軽に言うことが、悩みを持つ人に恐怖を与えるのではないかという。

「こういった言葉は、傷つけようとする意図なく発せられるものですが、自分の性的指向に悩む人は、こういう言葉によってダメージを受けるのです」

 オサリバン氏は、学生時代につらい経験をすることで、性的少数者が二度とスポーツを楽しめなくなる可能性を懸念しているという。

 同性愛者であることを告白した数少ないサッカー選手の一人で、米メジャーリーグサッカー(MLS)のロサンゼルス・ギャラクシー(Los Angeles Galaxy)に所属するロビー・ロジャース(Robbie Rogers)は、この研究結果が変化をもたらすことを期待しているという。

「たとえユーモアという意味であっても、同性愛者を異端視するような冗談を言わないという選手一人、ファン一人の心がけから、変化は起こるんだ」

(c)AFP/Madeleine COOREY