【5月9日 AFP】チケット販売業者のジャンセバスチャン・ゴシュイン(Jean-Sebastien Gosuin)氏はこの10年以上、国際サッカー連盟(FIFA)主催のサッカーの試合から五輪まで、チケットはソールドアウト(完売)になっているのに空席が目立つイベントを何度も目にしてきた。

 これに着想を得たゴシュイン氏が、ベルギー人実業家2人と組んで立ち上げた会社が「シーターズ(Seaters)」だ。表向きにはソールドアウトとなっているイベントで、ファンに「セカンドチャンス」を与えようと、後から入手可能になった席のチケットを販売し直す「チケット手配アプリ」を開発している。

 今週米ラスベガスで行われたテクノロジー会議「コリジョン(Collision)」でAFPの取材に応じたゴシュイン氏は「イベントでは、たとえチケットがソールドアウトでも必ず空席がある」と説明した。

 主催者側は通常、何らかの問題や予期せぬ必要が生じた場合に備え、席やスペースを空けておく。一方で、チケット販売業者は、大量に仕入れたものの売れ残ったチケットを戻してくることが多い。プロモーションや社員の福利厚生用にブロック単位でチケットを買い上げるスポンサーや関連企業の下には、使わないチケットが余りもする。また、チケットを入手した人が単に個人的な理由でキャンセルする場合もある。

 イベントのチケットが「公式」にソールドアウトとなった後がシーターズの出番だ。膨大な「順番待ち名簿」を作り、チケット入手を熱望する人々に向けて席を入手できる確率を示す。そして、余りチケットが出たことが明らかになると、順番に購入機会を提供する。チケット料金は額面価格で、それとは別に20%を手数料としてシーターズに支払う仕組みだ。(c)AFP